営業と同じように、経営でも主導権があります。
働きたい人が順番待ちになっている会社では、従業員が会社に反発するような行動はとれません。ちょっとした文句や、愚痴などさえ言いにくくなります。
会社から見れば、代わりが効くからです。これが会社が主導権を持っている状態。

一方で、辞めたい人が順番待ちになっている会社では、一般的にどのような会社でも普通にしている意思決定に対して、従業員が簡単に文句やいいがかりを言うことができます。空いている飲食店では、お店の流行っていない理由を探そうとする心理と同じです。

会社への反発は、デモやいじめのようにエスカレートし、いわれなき中傷となることすらありえます。
いかに正しくまっとうな決定をする会社であっても、従業員に反発されているようでは、施策のまっとうな履行はありえません。

つまり、会社は従業員に対して、主導権を確立できなければ、良質な経営はできないということです。人手不足もあり、昨今辞めないでくれと従業員を追いかけている会社をよく見かけます。権限で反乱を統制しようとしてもいたちごっこになるだけです。

交渉的な観点に立つと、組織経営がうまくいくかどうかは、追いかけさせる流れを作ることにあると考えることができます。
つまり、従業員の「欲しい」と「困る」を把握し、経営の「欲しい」と「困る」を隠す。特定の従業員に対し、経営に代替案がない状態をつくらない。これらがコツとなります。

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